発売前に売上金額の予測をする方法

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新商品コンセプト案の調査をして、高いスコアが出たとしても、どのくらい売れるのかってわかりませんよね。

でも、ある方法を使うと、予測することができるのです。

それは、私の師、梅澤伸嘉が考案したフォームラSという売り上げ推計モデルです。
梅澤が長年にわたり、定量調査のスコアと、実際の売上金額との相関研究を行った成果がこのモデルの完成となりました。

今日は、このモデルを紹介します。

フォームラSによってわかることは、発売初年度の国内売上金額です。

スーパー、コンビニ、ドラッグストアなどの店売りでの販売金額となります。
ウエブ通販のような無店舗販売の場合は、別の推計式が必要になります

推計に使う主な数字や変数は次のものです。

a)コンセプト受容性定量調査の結果における「ぜひ買いたい」(トップボックスと言います)という回答率
「やや買いたい」のような回答率では、売り上げとの相関が低いです。

b)設定価格 消費者に対して販売する価格です。

c)配荷率 取り扱ってくれる店の割合。店有率ともいいます。消費者から見れば、買おうと思って店に立ち寄った際に、その店に置かれている割合です。

d)商品認知率

e)コンセプト理解率

f)想定年間購入個数

g)母集団人口 ここでいう母集団とは「その商品を買う可能性のある人々」のことです。

h)係数 「ぜひ買いたい」と答えた人が、商品発売後に商品を目の前にしても必ず買うとは限りません。この係数は、「ぜひ買いたい」と回答した人のうちの何%が実際に買うか、という意味を持ちます。その目安となる数値をその都度設定します。

i)補正値 これは、市場環境や消費者意識、「ぜひ買いたい」の理由など定性情報をもとにして数値化するもので、非常にノウハウを使うところです。

基本的には上記の掛け算となりますが、a)~g)について補足します。

a)コンセプト受容性の定量調査は、設問の仕方や調査票の内容をある程度固定化しておくことが重要です。そうすればデータの蓄積がされ、他の商品コンセプトとの比較ができ、ノルム値(判断の目安となる数値)を持つことができます。

b)設定価格は、複数の値付け案ごとに売り上げ推計をすることが可能です。なので、「〇〇億円売りたい」という目標値があれば、売価をいくらに設定すればよいか、を推計することも可能です。

c)配荷率とは、「ぜひ買いたい」と思う人が、さほど労力を使わなくても買いたい店で買える割合ということもできます。

d)コンセプト調査の際にはコンセプトを対象者に提示をしているので、商品認知率は100%となります。しかし、上市1年間で商品認知率が100%になることは不可能でしょう。
したがって、目標となる認知率を設定することが必要です。
この数値も、売り上げ額の算出後に修正して「もし商品認知率が30%だったらいくらの売上金額になるか」ということもわかります。

e)コンセプト理解率についても、コンセプト調査の際には100%になっているはずです。でも実際には、発売後に商品名を認知していてもコンセプトを理解していない人々は一定数いるでしょう。このことも勘案する必要があります。
売上金額算出後に、修正した値で再算出が可能です。

f)想定年間購入個数は、「ぜひ買いたい」と回答した人が、商品コンセプトで期待した通りの満足を得られることが前提になります。「1年間で何個買うと思いますか」という設問の答えをもとに算出します。

g)母集団人口の設定を誤ると非常に大きな誤差が生じます。この算定モデルを使った意味がなくなるだけでなく、企業の読みを誤らせる原因になるため、とても慎重におこなわなければなりません。

このモデルを使うための主な前提があります。

1.定量調査にかける商品コンセプトは、完成度が高いこと。
完成度が高いとは、未充足の強いニーズに応えていることや、アイデアとベネフィットとの因果関係が成立していること、どのような商品アイデアかがイメージ出来ること等、弊社の「商品コンセプトの完成度チェック」をクリアしたものであることが不可欠です。そうでないと、“回答結果がぶれる”ことになります。例えば、対象者の理解がまちまちになったり、誤解をしたまま回答するなどの結果になります。

2.導入後1年以内に、当該コンセプトと同様またはそれ以上に魅力的なベネフィットを持った他の商品が上市されないことも前提になります。

3.本来ならば統計的な代表性のあるランダムサンプリングによる定量調査であるべきです。しかし、今やインターネットによる定量調査が主流になっています。対象者のパネルによって誤差が大きくなる可能性はあります。

4.誤差率は大体±10%~20%。インターネットリサーチによる誤差は一概に言えません。ただし、定量調査の前にコンセプト受容性に関する定性調査を行っておくと、「補正値」の精度が高まるため誤差が小さくなります。誤差率はおよそ±10%内に収まると思います。

このフォームラSは、慎重に行えば精度の高い売り上げ予測ができます。

ご興味がありましたらお問い合わせください。

   

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